イベントレポート

物理学専攻 新博士講演会

東北大学大学院理学研究科 物理学専攻新博士講演会
日時: 2009年2月19日(木曜日) 12:30-17:30
会場: 理学総合棟2階共通講義室



 東北大学理学研究科物理学専攻では、平成19年度から新博士による講演会と祝賀会を開催しています。この講演会は、フィギュアスケートに例えれば、エグジビションに当たるもの。専門の異なる人でも理解できるよう、かつ発表者本人が楽しんで発表できるよう、新博士9名が講演しました。専門に関わらず、本物理学専攻のアクティビティと物理学最前線を楽しもうと、学生や教員、OBらが講演会に参加しました。

■物理学専攻新博士講演会プログラム

佐藤 健太郎 「カーボンナノチューブの光学遷移における励起子効果」
加藤 大樹 「高品位水素および重水素終端Si(111)-(1x1)表面の作成法の開発と表面フォノンの研究」
挽野 真一 「超伝導/強磁性接合における量子輸送現象の理論」
渡邊 良祐 「金属誘電体多層膜メタマテリアルの光学応答」
佐藤 望 「冷核融合反応による中性子欠損Hs同位体の合成および崩壊特性の研究」
高野 琢 「層状窒化物超伝導体のインターカレーションによる物性制御」
菅原 克明 「高分解能光電子分光によるグラファイト、グラフェン、C6Caの電子構造の研究」
小川 洋人 「層状液晶の欠陥構造の理論」
齋藤 充 「非反転対称磁性体における電気磁気光応答の研究」

力強く講演する新博士

会場からの質問に答える新博士


専門にとらわれず、本物理学専攻のアクティビティと物理学最前線を楽しむ学生や教員、OBら

物理学専攻 新博士・専攻賞祝賀会

東北大学大学院理学研究科 物理学専攻新博士・専攻賞祝賀会
日時: 2009年2月19日(木曜日) 17:30-20:00
会場: 理学総合棟2階エントランスホール



 講演会に引き続き、新博士と昨年度より創設された物理学専攻賞受賞者をお祝いするパーティーが開催されました。物理学専攻賞とは、物理学専攻の大学院生(博士課程前期2年及び後期3年)の中から、物理学研究に関する優れた研究業績をあげたものを表彰するものです。今年は、博士2名、修士4名が選ばれ、山口昌弘専攻長から賞状と記念メダルが贈られました。


山口専攻長からの挨拶

物理学専攻賞はメダルも賞状も手づくりの賞











山口昌弘専攻長より一言

物理学専攻賞はメダルも賞状も手づくりの賞です。賞の価値は、受賞された方が今後どう活用されるかで決まっていきます。 新博士になられた方々には、これまで物理で学んだ考え方を活かして、これから様々な分野でご活躍頂くことを期待しています。


【専攻賞受賞者】菅原 克明 さん(博士課程後期3年)

研究内容:「高分解能光電子分光によるグラファイト、グラフェン、C6Caの電子構造の研究」
指導教員:高橋隆教授(光電子固体物性研究室)

―研究生活を振り返って
 いろいろな意味で、運が良かったと思います。まずひとつは、先生方に恵まれたこと。もうひとつは、2005年これまで絶対温度で2K程度だった超伝導転移温度が、金属を挿入すると11.5Kに上昇することが新たに報告されたことで、研究室にある装置を使って自分で調べることができるようになったこと。

―その中で、心の中軸においてきたこと
 少しでもうまくいきそうだと思ったら、何も考えずに突き進めていくこと。諦めないでやることですね。

―これからどうありたいか
 これからも、研究を諦めずにやることです。

―進路について
 研究員として、同研究室に一年間お世話になる予定です。


【専攻賞受賞者】齋藤充さん(博士課程後期3年)

研究内容:「非反転対称磁性体における電気磁気光応答の研究」
指導教員:有馬孝尚教授(強相関固体物性研究室))

―研究生活を振り返って
 大学院博士課程後期で東北大学に編入したため、最初は何もわからない状態でした。さらに実験装置がひとつもなかった状態でしたので、それを1からつくるのが大変でしたね。東北大学に編入した理由は、東北大の設備環境の良さ。どうせ3年やるのなら新しいことをやろうということで、研究内容もがらりと変えました。

―その中で、心の中軸においてきたこと
 昔はお金がない研究室にいたので、実験ができること自体、幸せなことだと思ってきました。それだけは5年間、思い続けたことですね。また、できるだけ自分ひとりで実験装置をつくってやろう、とも思っていました。もともとあった装置を使った人と、1から自分で装置をつくった人とでは、最終的に、装置に関する知識が全く違います。自分でつくれば「この装置にはこんな癖がある」とわかるので、ある実験データが得られたとき、それが物質によるものなのか、それとも実験装置によるものなのかを、すぐに判断することができます。このような考え方も、すべて先生に教えて頂きました。先生に恵まれた5年間だったと思います。

―どのような点に魅了されたのか
 物の性質に興味を持ちました。物理は、素粒子に代表される「デカい」研究と、物性に代表される「ちまちま実験する」研究に大別されると思いますが、自分は「ちまちま実験する」ことが好きだったんです。やはり物性は、自分で実験内容も考えて、自分で測定して、全部一人でできます。それが一番良いところですね。

―進路について
ニコンに就職します。光やレンズ関係の研究をすることになると思います。

―これからどうありたいか
今までは一人で研究してきましたが、これからは色々な人や、異分野の人とも仕事をしたいと思ったのが、自分が就職した理由です。色々な人と研究すると、色々な考え方ができて楽しいだろうし、これからは多くの人と研究していきたいと思っています。











物理学専攻賞受賞者の皆さん


新博士の皆さん




【宮城の新聞】物理学専攻 新博士講演会と新博士・専攻賞祝賀会