会長の挨拶

東北大学名誉教授・元理学研究科長
佐藤 繁(昭和39年物理学科卒)

 昨年(平成26年)10月26日の総会において田中正之先生の後任として選出されました佐藤繁です。加藤愛雄先生、森田章先生、伊達宗行先生、田中正之先生の後の泉萩会会長を僭越ながら務めさせていただくことになりました。至らないところが多々ございますが、頑張りますので今後のご指導宜しくお願い申し上げます。

 泉萩会は、東北大理学部・理学研究科物理系の卒業・修了生、学部学生、大学院生、教員からなる同窓会で、会員相互の親睦と連絡をはかり、合わせて物理系教室の発展に資することを目的として1984年11月に設立されました。会員は国内外合わせて約7,000名に達し、各界で多数活躍しています。

 会は、年1回の会誌発行、講演会・総会と懇親会の開催、若い研究者を励ます森田記念賞・泉萩会奨励賞の募集選考・授与、会員名簿の整備等を行っています.この中で、幅広い層の会員が一堂に会して交流するのは、年1回の総会です。昨年の神田学士会館での総会は、昭和30年代木村一治、北垣敏男先生、諸先輩が加速器作りに奮闘した話題から始まりましたが、会が進むにつれて、特に懇親会が、新旧様々な話題で大いに盛り上がり参加者全員非常に楽しい一刻を過ごすことが出来ました。その事に力を得て、「アットホームな時間と空間」を共に楽しめる「広くて大勢が参加しやすく、雰囲気のいい会場」探しを理事会に相談しました。

 結果、平成27年度秋の総会は、昨年落成した東北大学大学院理学研究科理学合同C棟3階「青葉サイエンスホール」を主会場とし、懇親会は同じ2階のレストラン「エスパース・ウベール」で行うことになりました。新会場は本会副会長物理学専攻前田、会長補佐織原、事務局新関、各先生、研究科のご協力により利用できることになりました。

 この会場は、理学部前バス停に面して見晴しが良く、震災後の青葉山キャンパスの現状が一目で分かります。近くには仙台市営地下鉄東西線「青葉山駅」が平成27年12月6日に開業します。時代は変わったと思います。驚かされるのは、農学研究科が移転する「青葉山新キャンパス」で、その雄大さは一見の価値があります。皆様方、是非総会に参加くださり、青葉山キャンパスを眼下に、先端科学研究や大学教育の過去・現在・未来の話題、示唆に富む体験談、年代を超えた交流を楽しんで頂きたいと思います。

 さて約30年前に「泉萩会」は、当時の国立東北大学理学部物理系学科との協力関係を持つOB会として発足しました。平成16年度に、全国立大学は、教学と経営を一致させる目的で、国立大学法人に制度改革されました。既に、第1期計画(平成16〜21年度)、第2期計画(22〜27年度)を経て、28年度から第3期に入ります。泉萩会は、国立大学から国立大学法人にパラダイムシフトした東北大物理系教室と引き続き良好な協力関係を継続していきたいと考えます。

 東北大学法人の中期目標には、「研究第一主義」の伝統、「門戸開放」の理念、「実学尊重」の精神を受け継いで高等教育を推進し、世界と地域に開かれた研究中心大学として指導的人材を養成する、としてあります。3つのモットーは、本学創設以来、社会の枠組みや大学組織が大きく変化しても継承され、現在でも本学学生・教職員、OBに人生設計上の大きな指針を与えてくれます。他方、現代社会・世界は目まぐるしく変化し、ほぼ10年周期でパラダイムシフトしています。それはIT機器や車の分野で顕著ですが、大学にも及んでいます。目に見える即効的成果を求められて、基本的・伝統的学問分野が徐々に衰退する傾向にあります。

 自然の摂理・真理を探究する理学系には、先端研究の推進だけではなく、人類の英知の結晶である自然科学のさらなる検証や後世への伝承、次世代を担う理系人材の養成等、歴史的に果たしてきた大きな役割があります。私見ですが、変化の激しい時代にこそ、理学系学生・院生の皆さんは、強固な普遍的基礎学力、広い視野・国際性、高い倫理観を身に着けることが大事で、加えて高度な専門性と積極性を具備してから社会に出るべきです。世に出てからは、強固な基礎総合力によって、創造力と突破力を磨き、成果主義に呑まれず変革に対応する腹の座った人間に成長し、結果「社長」や「リーダー」が輩出する、そのような状況になればいいと思います。

 しかし、首尾よく学部や大学院を修了しても、いい条件の安定したポストを探すことが難しい現実です。若い研究者の将来は、我が国の将来でもあります。現役世代の方々には、引き続き人材の需要と供給のバランスに充分配慮をお願いし、「研究・技術立国」を目指して進んで欲しいと思います。泉萩会メンバーの豊富な職業・研究・教育体験が理学・物理系に少しでもお役に立つことがあれば幸いです。

 末尾に、泉萩会の運営に関するご希望・ご意見を歓迎いたします。お気付きの点がございましたら、遠慮なく事務局までお寄せください。今後とも会員の皆様方のご協力、ご指導をお願い申し上げます。