イベントレポート

東北大学WPI-AIMR本館 竣工記念式典(2011年12月7日)

【名称】竣工記念式典・施設見学会・交流会
【日時】2011年12月7日(水)午後4時から
【場所】東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)本館


 文科省による世界トップレベル研究拠点の一つである東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)で7日、本館の竣工を記念する式典が開催されました。本会からは、谷垣勝己教授と高橋隆教授が同機構に参画しています。本稿では当日のレポートならびに関係者へのインタビューをお伝えします。


7月末に竣工した東北大学WPI-AIMR本館(外観)=東北大学片平キャンパス(仙台市青葉区)

 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(山本嘉則機構長、仙台市青葉区、以下WPI-AIMR)の本館の竣工記念式典が7日に開催され、同大学や文部科学省、施工業者などの関係者らが出席しました。

 本館の建設は震災のため予定より約4ヶ月遅れ、7月末に竣工しました。外壁は旧東北帝国大学工学部金属工学教室のすだれレンガが壊されることなく保存され、居住空間はガラスを用いて現代的に仕上げられました。研究者同士の活発な交流を促進するためのスペースも設けられました。

東北大学WPI-AIMR本館竣工記念式典のようす

 記念式典では、山本機構長が司会を務め、「これまで片平や青葉山キャンパスに散在していた研究者の大半が一堂に会することにより、さらなる異分野融合研究を推進し、飛躍発展する研究環境が整った」と挨拶しました。続いて井上明久総長からの挨拶があり、阿部博之元総長(現・科学技術振興機構顧問)、戸渡速志文部科学省大臣官房審議官、黒木登志夫WPIプログラム・ディレクターから祝辞がありました。

交流会で鏡開きを行う関係者ら

 記念式典後は、同機構の研究者による説明を受けながら、研究室や交流スペースなどの施設見学がありました。次いで行われた交流会では、西澤潤一元総長(現・上智学院顧問)と長田義仁WPIプログラムオフィサーから祝辞があった後、関係者による鏡開きが行われ、同機構のさらなる飛躍発展を祈願しました。

 同機構は、文部科学省が07年度にスタートした「世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラム」に採択された6拠点の一つです 。材料科学分野を中心として、世界中から第一線の研究者が集い、異分野を融合させ、新材料の研究開発から応用まで一貫して取り組む研究拠点の構築を目指しています。


■インタビュー(これからの意気込みについて聞く)

井上明久さん(東北大学総長)

井上明久さん(東北大学総長)
 これまで各キャンパスに分散していた研究者が一堂に会することにより、本プロジェクトに求められている、異分野が融合し合うことで新たな科学技術、学術を創り出す環境は整った。後は各研究者等にぜひ頑張っていただき、さらには本学の発展に力を尽くしていただきたい。

山本嘉則さん(東北大学WPI-AIMR機構長)

山本嘉則さん(東北大学WPI-AIMR機構長)
 研究環境整備のために文部科学省から20億円を措置された大きな責任が我々にはある。我々はその期待に応えて、世界中から材料科学の研究者が集結するような、世界トップの研究拠点をつくらなければいけない。プロ野球選手が大リーグに憧れるように、「材料科学と言えば仙台」と世界中が憧れるような研究拠点をつくりたい。

谷垣勝己さん(東北大学教授)

谷垣勝己さん(東北大学教授)
 日本は昔から内向き志向で、一時は世界へ出ようとした時期もあったが、最近は内に戻っている傾向にあると思う。そのような状況の中、このような世界トップレベルの研究拠点があることで、また新しく日本が外に打ち出せる、あるいは外国人を日本に呼んで来れることになる。それは研究の発展に重要だという観点から期待をしているし、私個人としても楽しみだ。

高橋隆さん(東北大学教授)

高橋隆さん(東北大学教授)
 WPIは世界が注目する研究所。東北大学の英智を片平に集結させ成果を挙げようという、これからがまさに出発だ。これまで各キャンパスに分散していた研究者達が新しい建物に一堂に会し、すぐ隣の部屋には、自分とは全く分野が異なる、一流の研究者達がいる。そこで融合研究を進めて、もう一飛躍したい。世界の材料科学のメッカという、東北大学の一番の強みを活かして頑張りたい。


■フォトギャラリー(WPI-AIMR本館の施設見学)

内観

交流スペース


バイオデバイス研究室(下村グループ)

界面物理化学研究室(栗原グループ)


有機ソフト・ハイブリッド材料研究室(阿尻グループ)

電子材料研究室(谷垣グループ)


界面物理化学研究室(Teizerグループ)

材料物理先端分光研究室(高橋グループ)


界面物理化学研究室(一杉グループ)

有機ソフト・ハイブリッド材料研究室(山本・浅尾研究室)






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